無形化世界の戦略論 (3) 無形化世界におけるパワー
Posted by admin on 14 3月 2009 at 11:35 am | Tagged as: Strategy + Geopolitics
無形化世界においても,過去の陸海空軍三軍と類似の特徴を持つパワーが存在する。それが,
(i) 経済力
(ii) 研究機関の知的影響力
(iii) メディアの力
の3つである。それぞれのパワーを特徴づける要素を見ていこう。
経済力とはどのようなパワーか
経済力は,国力の基礎であり,貿易・生産・消費など日常生活に密接に関わっている。
長沼氏によればは,経済力の特性は,以下のようなものである。
- 経済活動に動員される人員がきわめて多い(=マンパワーが大)
- 経済活動は,計画されてから投資がなされ,実際に動き出すまで時間がかかる(=速度が小)
- 経済活動は,生活圏に密接に関わっている(=影響力が直接的)
- 経済活動は,ひとたび動き出せば,継続的に影響力を維持し続けることが可能である。(=常駐能力あり)
この特徴は,人員が多く,速度は遅いものの,ひとたび動きだし陣地を獲得すれば,長期間に渡って生活圏を直接的に支配し続けることが可能な「陸軍,ランドパワー」に相当する。

陸軍
研究機関とはどのようなパワーか
シンクタンクや大学などの研究機関の主な仕事は,産業の基盤技術の開発,経済政策の裏付けや,政策の詳細な検証・立案,ルール策定などを通じて社会の方向性を決め,発展の可能性を広げることである。
- 研究機関は,少数精鋭の場合が多く,動員される人員は少ない(=マンパワーが小)
- 研究機関は,研究開始から成果を出し,影響力が生じるまでに時間がかかる(=速度が小)
- 研究機関は,あくまでアカデミズムの分野の話で,生活圏には直接には影響はない(=影響力が間接的)
- 研究機関は,ひとたびその分野での成果・権威を獲得すれば,継続的に影響力を維持し続けることが可能である。(=常駐能力あり)
この特徴は,速度が遅く,あくまで生活圏には間接的にしか影響を及ぼすことはできないものの,海上封鎖などで間接的に長期間に渡って,生活圏・交易圏を支配できるという点で,「海軍,シーパワー」に相当する。
例えば,アカデミズムの分野や,国際会議などにおいて強い発言力を獲得できれば,その後長期間に渡って絶大な影響力を行使し続けることが可能(例えば,国際法や国際規格,スポーツルールなどにおけるスタンダード策定権など)である。

海軍
メディアとはどのようなパワーか
同様に,
- メディアは,少人数でも報道可能で,動員される人員がきわめて少ない(=マンパワーが小)
- メディアは,即座に情報を発信することができる(=速度が大)
- メディアは,人々が目に触れる情報をコントロールすることで生活圏に密接に関わっている(=影響力が直接的)
- メディアは,同じテーマで人々の関心を惹きつけておくことができず,テーマを転々と変更していく。(=常駐能力なし)
この特徴は,少数精鋭で素早く敵地を爆撃し,多大な影響を与えることができるが,敵地に常駐することのできない「空軍,エアパワー」に相当する。

空軍
参考図:各国経済力比較

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